漢方、生薬、草根木皮

弁陽明病脈証併治下第八(その2/2:第222条~第262条)

各条
・原文
・現代中国語解説
・現代中国語解説の日本語訳。
の順に記載。
 ただし、日本語訳は管理人の翻訳のため翻訳精度は低いと考えられる。



第222条
若渴欲饮水,口干舌燥者,白虎加人参汤主之。

如果误下后热盛津伤,出现口渴想喝水,口干舌燥的,用白虎加人参汤主治。

もし、誤って瀉下させた後、熱が盛んで津液を傷つけ、喉の渇きが出て、口やしたが乾燥する場合は、白虎加人参湯を用いて治療する。



第223条
若脉浮发热,渴欲饮水,小便不利者,猪苓汤主之。

如果误下后出现脉浮、发热、口渴想喝水、小便不通畅的,属阴伤有热、水热互结于下焦,用猪苓汤主治。

もし、誤って瀉下させた後、脈が浮になり、熱が出て、口が渇いて水を飲みたがり、おしっこの出が悪くなるのは、陰が損傷して熱がでる(陰傷有熱)に属する。水と熱が互いに下焦で結ばれている。猪苓湯を用いて治療する。



第224条
阳明病,汗出多而渴者,不可与猪苓汤,以汗多胃中燥,猪苓汤复利其小便故也。

阳明病,汗出多而口渴的,属汗多津伤、胃津不足的口渴,不能用猪苓汤治疗。 因为猪苓汤能够通利病人小便,使津液进一步损伤。

陽明病で、汗が出て口が渇くのは、多汗による津液の損傷(汗多津傷)に属し、胃の津液の不足による喉の渇きであり、猪苓湯では治療できない。 猪苓湯は、おしっこが十分にでる人に使うと、さらに津液を傷つける。



第225条
脉浮而迟,表热里寒,下利清谷者,四逆汤主之。

脉象浮而迟,外有假热内有真寒,腹泻完谷不化的,用四逆汤主治。

脈が浮で遅、表に偽熱があるが実際は裏は寒で、消化しきれていない便が出る場合は、四逆湯を用いて治療する。



第226条
若胃中虚冷,不能食者,饮水则哕。

如果胃中虚寒不能进食的,饮水后就会出现呃逆。

もし胃が虚して冷え、食事が摂れないのは、水を飲むとシャックリが出るだろう。



第227条
脉浮发热,口干鼻燥,能食者则衄。

脉浮发热,口干鼻燥,能够饮食的,为阳明气热炽盛,气病及血,迫血妄行,就会出现衄血。

脈が浮で発熱して、口と鼻が乾いて、食事は十分にできるのは、陽明の気熱の勢いが盛んで、気の病が血に現れている。熱が血分に入って血絡を損傷して(迫血妄行)、鼻血が出るだろう。



第228条
阳明病,下之,其外有热,手足温,不结胸,心中懊悩,饥不能食,但头汗出者,栀子豉汤主之。
阳明病,经用泻下法治疗,身热未除,手足温暖,没有结胸的表现,心中烦躁异常,嘈杂似饥而不能进食,仅见头部汗出的,用栀子豉汤主治。

陽明病で瀉下法で治療したが、身体の熱が取れず、手足が温かく、結胸の症状は無く、気持ちの苛立ち(心中煩躁)が顕著で、胃が虚して飢えたようになり食べられず、ただ頭部にのみ汗が出るのは、梔子鼓湯を用いて治療する。



第229条
阳明病,发潮热,大便溏,小便自可,胸胁满不去者,与小柴胡汤。

阳明病,发潮热,大便稀溏,小便正常,胸胁胀闷不除的,为少阳之邪未尽,宜用小柴胡汤治疗。

陽明病で、決まった時間に熱が出て(潮熱)、大便は薄い泥状で、おしっこは正常、胸脇の張りが取れないのは、少陽の病がまだ残っている。小柴胡湯で治療する。



第230条
阳明病,胁下硬满,不大便而呕,舌上白胎者,可与小柴胡汤,上焦得通,津液得下,胃气因和,身濈然汗出而解。

阳明病,胁下痞硬胀满,不解大便,呕吐,舌苔白的,为柴胡证未除,可给予小柴胡汤治疗。用药后,上焦经气得以畅通,津液能够下达,胃肠机能得以恢复,就会周身畅汗而病解。

陽明病で、脇の下が詰まった感じがして硬く張り、便秘して、嘔吐し、舌苔が白いのは、柴胡証が解けていないからで、小柴胡湯を与えて治療できる。服用後、上焦の経気がスムーズに通り(暢通)、津液が下焦に達し、胃腸機能が回復して汗がでて病が治る。



第231条
阳明中风,脉弦浮大而短气,腹都满,胁下及心痛,久按之气不通,鼻干不得汗,嗜卧,一身及目悉黄,小便难,有潮热,时时哕,耳前后肿,刺之小差,外不解,病过十日,脉续浮者,与小柴胡汤。

阳明中风,脉象弦浮而大,全腹胀满,两胁及心下疼痛,按压很久而气仍不畅通,鼻中干燥,无汗,嗜睡,全身肌肤及目都发黄,小便解出困难,发潮热,呃逆不断,耳前后部肿胀。 证属三阳合病,治疗当先用针刺法以泄里热。刺后里热得泄,病情稍减,而太阳、少阳证未除,病经过了十天,脉象弦浮的,可给予小柴胡汤以解少阳之邪。

陽明病中風で、脈が弦浮で大、お腹が全体に張って、両脇と心下が痛み、長時間抑えても気はスムーズに通ら(暢通せ)ず、鼻の中が乾燥し、汗はなく、睡眠を好み、全身の皮膚および目は黄色くなり、おしっこは出にくく、決まった時間に熱が出て(潮熱)、しゃっくりは止まらず、耳の前後部が腫れる。これは三陽の合わさった病に属し、治療にはまず針を用いて、裏熱を取る。針治療のあと、裏熱が取れたら、病状はやや軽くなり、太陽・小陽証が残る。病後10日ほど経ち、脈が弦浮なら、小柴胡湯を与えて、小陽の病を解くことができる。



第232条
脉但浮,无余证者,与麻黄汤。若不尿,腹满加哕者,不治。|”如果服小柴胡汤后少阳证已解,只见脉象浮等表证,无其他经见证的,可给予麻黄汤治疗。如果病情恶化,出现无尿、腹部胀满并且呃逆更甚的,属不治之候。

小柴胡湯を服用後して、少陽証が解けたが、脈が浮などの証のみが残り、その他の経の証が見られない場合は、麻黄湯を与えて治療する。もし病状が悪化し、尿が出なくなり、腹が張ってシャックリが止まらない場合は、不治の病である。



第233条
阳明病,自汗出,若发汗,小便自利者,此为津液内竭,虽硬不可攻之,当须自欲大便,宜蜜煎导而通之。若土瓜根及大猪胆汁,皆可为导。 阳明病,自汗出,津液已伤,如果再行发汗,而又小便通畅的,则更伤津液,导致肠中津液枯竭,引起大便硬结。此时大便虽硬结,也不能用泻下药攻下,必须待病人自己想解大便时,用蜜煎导引导通便,或土瓜根及大猪胆汁,均可作为导药,以引导大便解出。

陽明病で、汗がでて、津液が傷ついている時に、重ねて発汗させたりおしっこを出させたりすることは、さらに津液を傷つけ、腸内の津液の枯渇となり、大便を硬くさせてしまう。この時、大便は硬くとも瀉下薬で攻下させてはならない。自然に便意を催すのを待つ必要があり、蜜煎を用いてお通じをつけてやるか、土瓜根及大猪胆汁を用いて、大便がでるのを導いてやる。



第234条
阳明病,脉迟,汗出多,微恶寒者,表未解也,可发汗,宜桂枝汤。
阳明病,脉象迟,汗出很多,微微怕冷的,这是表证尚未解除,可以发汗,适宜用桂枝汤。
陽明病で、脈が遅、汗がとても多く出て、軽く寒気がするのは、表証がまだ治っていないからで、発汗させても良い。桂枝湯が適している。



第235条
阳明病,脉浮,无汗而喘者,发汗则愈,宜麻黄汤。

阳明病,脉象浮,无汗而气喘的,是太阳表实证仍在,用发汗法就会痊愈,可用麻黄汤。

陽明病で脈が浮、汗がなくてぜんそく(気喘)するのは、まだ太陽病表実証で、発汗法を用いれば治る。麻黄湯が使える。



第236条
阳明病,发热汗出者,此为热越,不能发黄也。但头汗出,身无汗,剂颈而还,小便不利,渴引水浆者,此为瘀热在里,身必发黄,茵陈蒿汤主之。

阳明病,发热汗出的,这是热邪能够发越于外,不能形成发黄证。如果仅见头部出汗,到颈部为止,身上无汗,小便不通畅,口渴想喝汤水,这是湿热郁滞在里,势必出现肌肤发黄,用茵陈蒿汤主治。

陽明病で、発熱し汗が出るのは、邪熱が発熱に乗じて外に出ているので、黄疸にはならない。もし頭から首にかけてだけ汗が出て、身体に汗が出ず、おしっこの出が悪く、喉が渇いて水を飲みたがるのは、湿熱が裏に鬱滞しているので、おのずと皮膚が黄色くなる。茵蔯蒿湯を用いて治療する。



第237条
阳明证,其人喜忘者,必有畜血。所以然者,本有久瘀血,故令喜忘。屎虽硬,大便反易,其色必黑者,宜抵当汤下之。 阳明病,病人健忘的,是体内一定有蓄血。由于瘀血久停,气血阻滞,所以使人健忘。其大便虽然硬结,但容易解出,并且颜色一定是黑的,宜用抵当汤攻下瘀血。

陽明病で、物忘れをし易いのは、体内に瘀血が停滞(蓄血)している。瘀血が久しく滞り、気血の流れが停滞しるため、物忘れし易くなる。便は硬くなるが出やすく、顔色は必ず黒ずむ。抵当湯を用いて攻下して瘀血を治療する。



第238条
阳明病,下之,心中懊悩而烦,胃中有燥屎者,可攻。腹微满,初头硬,后必溏,不可攻之。若有燥屎者,宜大承气汤。

阳明病,用泻下药攻下后,出现心中烦躁异常,如果是肠中燥屎阻结所致的,可以攻下,适宜用大承气汤。如果腹部轻微胀满,大便始出干硬,后出稀溏的,则不能攻下。

陽明病で瀉下薬で攻下した後に、気持ちの苛立ち(心中煩躁)が甚だしくひどくて、腸内に乾いた便(燥屎)があるようであれば、瀉下させて良い。大承気湯があっている。 もし腹部が軽く張っていれば、大便は初めは乾いていてるが、その後に軟便となるので攻下してはならない。



第239条
病人不大便五六日,绕脐痛,烦躁,发作有时者,此有燥屎,故使不大便也。

病人不解大便五六天,脐腹部疼痛,烦躁不安,定时发作,这是肠中有燥屎阻结,所以导致大便秘结。

病人が5,6日便秘して、おへそ周りが痛くてイライラして落ち着かず(煩躁不安)、一定の時刻に発作が出るのは、腸内に乾いた便(燥屎)が滞っているから便秘している。



第240条
病人烦热,汗出则解,又如疟状,日晡所发热者,属阳明也。脉实者,宜下之;脉浮虚者,宜发汗。下之与大承气汤,发汗宜桂枝汤。

病人心烦、发热,经过发汗,病已解除。现又出现午后发潮热,好象发疟疾一样的,这是邪传阳明。如果脉象实的,宜用攻下法治疗;如果脉象浮虚的,宜用发汗法治疗。攻下用大承气汤,发汗用桂枝汤。

病人がイライラ(心煩)して発熱があったが、発汗したら病気が治った。しかし、一旦は治ったがその後に再び、午後に熱が出て(潮熱)、その様子はマラリア(瘧疾)にかかった様なら、邪は陽明に伝わっている。もし脈が実なら攻下法を用いて治療する。;もし脈が浮で虚なら発汗法を用いて治療する。攻下法は大承気湯、発汗法は桂枝湯を用いる。



第241条
大下后,六七日不大便,烦不解,腹满痛者,此有燥屎也。所以然者,本有宿食故也,宜大承气汤。

用峻泻药攻下后,病人又出现六七天不解大便,烦躁不解,腹部胀满疼痛的,这是肠中有燥屎的缘故,之所以这样,是因为下后余热未尽,与肠内宿食相结合而成燥屎,适宜用大承气汤治疗。

強目の瀉下薬で攻下して、病人がまた6,7日間便秘になり、苛立ちが治らず、腹部が張って痛いのは、腸内に乾いた便(燥屎)があるためである。これは瀉下後まだ余熱が尽きていないからで、腸内の滞った食べ物と相まって乾いた便(燥屎)を形成する。大承気湯が適している。



第242条
病人小便不利,大便乍难乍易,时有微热,喘冒(一作怫郁)不能卧者,有燥屎也,宜大承气汤。

病人小便不通畅,大便忽而困难,忽而容易,时而有轻度发热,气喘,头昏目眩,不能平卧的,这是肠中有燥屎,宜用大承气汤攻下燥屎。

病人の小便の出が悪く、大便が急に困難になったり急に容易になったりして、時に軽い発熱があり、喘息し、めまいがして頭がくらくらし(頭昏目眩)、横たわることができないのは、腸内に乾いた便(燥屎)がある。大承気湯で乾いた便(燥屎)を攻下するのが適している。



第243条
食谷欲呕,属阳明也,吴茱萸汤主之。得汤反剧者,属上焦也。吴茱萸汤。

进食后想呕吐的,属阳明胃寒证,可用吴茱萸汤主治。 如果服吴茱萸汤后呕吐反而增剧的,则不属胃中虚寒,而是上焦有热。

食べたら吐き気をもよおすのは、陽明胃寒証であり、呉茱萸湯を用いて治療できる。もし呉茱萸湯を服用して吐き気が増すようであれば、胃中虚寒ではなく、上焦に熱があるのだ。



第244条
太阳病,寸缓关浮尺弱,其人发热汗出,复恶寒,不呕,但心下痞者,此以医下之也。如其不下者,病人不恶寒而渴者,此转属阳明也。小便数者,大便必硬,不更衣十日,无所苦也。渴欲饮水,少少与之,但以法救之。渴者,宜五苓散。

太阳病,寸部脉缓,关部脉浮,尺部脉弱,病人发热,汗出,怕冷,不呕吐,心下痞满不适的,这是医生误用攻下所致。假如没有误下,病人出现不怕冷而口渴的,这是邪传阳明。如果小便次数多的,大便一定干硬,其人虽然十余天不解大便,也没有什么痛苦。如果是胃中津液不足所致的口渴想要喝水的,可以给予少量汤水,以补充津液,津液恢复,则病可愈。如果是水饮内蓄、气不化津所致的口渴的,宜用五苓散通阳化气行水。如果是其它原因所致口渴的,可根据病情,依法施治。

太陽病で寸脈が緩、関脈が浮、尺脈が弱、発熱して汗が出て寒気がして、嘔吐はせず、みぞおちの周りが痞えて張った感じがする(心下痞満)のは、医者が誤って攻下法を用いたからである。もし、誤って瀉下しなければ、寒気はせず喉の渇きが出てくる。これは邪が陽明病に移ってきている。もしおしっこの回数が多い場合は、大便は必ず乾燥して硬くなり、十数日便秘するが、苦痛はない。もし胃中の津液不足で喉が渇いて水を飲みたがるなら、少しの水を与えて津液を補充し、津液を回復できれば治る。もし水飲が内に溜まっていて、気が化津できなくのどが渇くのであれば、五苓散で通陽化気して水の流れを良くする。もし、その他の原因によってのどが渇くのであれば、病状に合わせて治療する。



第245条
脉阳微而汗出少者,为自和也,汗出多者,为太过。阳脉实,因发其汗,出多者,亦为太过。太过者,为阳绝于里,亡津液,大便因硬也。脉象浮取微弱和缓、汗出少时,是正气驱邪,津液未伤,邪去正安,病得痊愈。
如果汗出多的,则是汗出太过,津液势必损伤。脉象浮而充实有力,主表有实邪,当用发汗解表法治疗,如果汗出多的,也是汗出太过。汗出太过,就会导致津液损伤,阳热盛于里,大便因而硬结。 脈が浮取は微弱で緩く、汗が少しの間出るのは 正気が邪に勝っており、津液は傷つけらえておらず、邪は去り安定しきて、病は治る。もし、汗が多く出ると発汗多過となり、津液は当然傷つけられる。もし、脈が浮で、力のある実ならば、邪は主に表にあるので、当然発汗解表法で治療するが、やはり汗が出すぎて発汗多過となる。そうなると津液を傷つけ、陽熱がとても盛んになり裏に至り、そのために大便が硬くなる。



第246条
脉浮而芤,浮为阳,芤为阴,浮芤相搏,胃气生热,其阳则绝。 脉浮而芤,浮主阳气盛,芤主阴血虚,浮脉与芤脉相合,胃气偏亢则生热,阳热亢盛至极,阴液亏虚,因而形成大便硬结之证。

脈が浮で芤、浮は陽気が盛んで芤は陰血虚で、浮脈と芤脈は同時に現れて、胃気がさらに熱を生み、陽熱が極まり、陰液が欠損して、そのために大便はさらに硬くなる。



第247条
趺阳脉浮而涩,浮则胃气强,涩则小便数,浮涩相搏,大便则硬,其脾为约,麻子仁丸主之。

趺阳脉浮而涩,浮主胃热亢盛,涩是小便频数,阴液不足。胃热津亏,肠中干燥,大便因而硬结。这是脾不能为胃转输津液所致,用麻子仁丸主治。 趺陽脈(足陽明系の経絡)が浮で渋、浮は主に胃熱が旺盛であり、渋はおしっこの回数が多く、陰液不足である。胃熱による津液不足で、胃中が乾き、大便がさらに硬くなる。 これは脾が胃に津液を運べなくなっており、麻子仁丸を用いて治療する。



第248条
太阳病三日,发汗不解,蒸蒸发热者,属胃也,调胃承气汤主之。|太阳病,经过三天,用发汗法治疗而病不解除,高热炽盛的,是转属阳明,用调胃承气汤主治。|太陽病で3日が過ぎ、発汗法を用いたが治らず、すごく高熱になるのは、陽明病に転属している。調胃承気湯を用いて治す。



第249条
伤寒吐后,腹胀满者,与调胃承气汤。

伤寒表证,使用吐法后,出现腹部胀满硬痛的,用调胃承气汤主治。

傷寒表証で、吐法を用いた後、腹部が張って硬くなったら調胃承気湯を用いて治療する。



第250条
太阳病,若吐若下若发汗后,微烦,小便数,大便因硬者,与小承气汤和之愈。

太阳表证,用催吐、攻下或发汗后,出现轻微心烦,小便频数,大便硬结的,用小承气汤和畅胃气、攻下里实,就可痊愈。

太陽病表証で、吐法あるいは瀉下法、発汗法を用いた後、軽いイライラ(心煩)が現れ、おしっこの回数が増えて、大便が硬くなる者には小承気湯で胃気を調和して、裏実を攻下すれば治る。



第251条
得病二三日,脉弱,无太阳、柴胡证,烦躁,心下硬。至四五日,虽能食,以小承气汤,少少与,微和之,令小安,至六日,与承气汤一升。若不大便六七日,小便少者,虽不受食,但初头硬,后必溏,未定成硬,攻之必溏;须小便利,屎定硬,乃可攻之,宜大承气汤。

患病二、三天,脉象弱,无太阳、少阳见证,烦躁不安,胃脘部痞胀硬结,到了四五天,虽见能够饮食,也应先给予少量小承气汤,以微微调畅胃气,使病情稍挫,到了第六天,再给予小承气汤一升。如果大便不解六七天,而小便短少的,则津液当还于肠中,虽然不能饮食,也不是燥屎内结,而是大便初出干硬,后出稀溏,如果攻下必成溏泄。 必须小便通利,大便始会坚硬,才可攻下,宜用大承气汤。

病気になって2,3日で脈は弱。太陽病および少陰病の証は無く、気持ちがいらだって落ち着かず(煩躁不安)、胃腸部が痞えて張って硬くなり、4、5日経って食事が採れれば、まず少しの小承気湯を与える。それから軽く胃気を整えて、少し病状を抑えて、6日目に再び承気湯を一升与える。もし、6,7日が経ち、便秘しておしっこが少ない場合は、津液が腸内に戻っているので、食事はできずとも燥屎による便秘にはならず、渇いた便が出始め、そのあと水気の多い便が出る。もし瀉下させると下痢する。必ずおしっこが出るようになるのを待って、便が硬くなれば攻下して良い。大承気湯が適している。



第252条
伤寒六七日,目中不了了,睛不和,无表里证,大便难,身微热者,此为实也,急下之,宜大承气汤。

外感病六七天,出现视物模糊不清,眼球转动不灵活,既无头痛畏寒等表证,又无谵语、腹满痛等里证,大便难以解出,体表有轻微发热的,这是燥热内结成实,而又真阴欲涸,应急下急阴,适宜用大承气汤。

外感の病に罹り、6,7日が経ち、物がぼんやりと見える症状が現れ、目の動きに機敏さが無くなり、頭痛や悪寒などの表証はなく、またうわ言やお腹が張って痛むなどの裏証もなく、便秘をして体表面が少し熱を持っているのは、乾いた熱(燥熱)が内で結び実している。その一方で陰が枯渇仕掛けている。急いで、瀉下させるべきである。大承気湯が適している。



第253条
阳明病,发热汗多者,急下之,宜大承气汤。

阳明府实证,又见发热、汗出多的,应急下存阴,宜用大承气汤。

陽明病実証で、さらに発熱や多汗が見られるのは、急いで瀉下させるべきである。大承気湯が適している。



第254条
发汗不解,腹满痛者,急下之,宜大承气汤。|发汗以后,不仅病未解除,反而出现腹部胀满疼痛,是发汗伤津,燥热迅速内结成实,应急下存阴,宜用大承气汤。|”発汗後、病気が治らないだけでなく、返ってお腹が張って痛む症状が現れるのは、発汗が津液を傷つけたためで、乾いた熱(燥熱)が一気に内で結実したためである。急いで瀉下させるべきである。大承気湯が適している。


第255条
腹满不减,减不足言,当下之,宜大承气汤。

腹部胀满持续不减轻,即使减轻,也微不足道的,是实邪内阻的征象,应当攻下,可用大承气汤。

腹部の張りがずっと治らず、例え軽減してもわずかな程度なのは、実邪が内に留まっている状態である。急いで瀉下させるべき。大承気湯を用いてよい。



第256条
阳明少阳合病,必下利,其脉不负[注]者,为顺也。负者,失也,互相克贼,名为负也。脉滑而数者,有宿食也,当下之,宜大承气汤。

阳明少阳两经合病,邪热下迫大肠,势必发生腹泻。如果木不克土,而见实大滑数之脉,与阳明实热相符的,是顺证;如果木邪克土,纯见少阳弦脉的,是逆证。现脉象滑而数,是阳明有宿食内停、宿滞内阻,应当攻下宿滞,可用大承气汤。 陽明病と少陽病の合病で、邪熱が下がり大腸にまで迫り、それによって下痢になる。もし木が土に勝って(克って)おらず、実大滑数の脈が見られれば、陽明実熱と一致(符合)し、順証である。;もしも木邪(木の邪熱?)が土に勝ち(克ち)少陽の弦脈のみが見られれば、逆証である。その時、脈が滑で数なのは陽明病が未消化の食物が胃にたまって(宿食)、内に滞り、便秘している。大承気湯を用いることができる。



第257条
病人无表里证,发热七八日,虽脉浮数者,可下之。假令已下,脉数不解,合热则消谷善饥,至六七日不大便者,有瘀血,宜抵当汤。 病人发热七、八天,既无头痛、畏寒等太阳表证,又无腹满谵语等阳明里证,虽然脉象浮数,也可用泻下法泄热。假如已经攻下,脉浮已除,而脉数不解,是气分之热已解而血分之热未除,邪热与瘀血相合,所以出现容易饥饿,能够饮食,六七天不解大便。这是瘀血停蓄,宜用抵当汤攻下瘀血。 病人が発熱して、7,8日して、すでに頭痛や寒気などの太陽病表証はなく、また腹部の張りやうわ言などの陽明裏証もなく、ただ脈が浮で数なら瀉下法で熱を取っても良い。もしすでに瀉下させていて、脈の浮はなく、数だけが残っているのは、気分証の熱は解け、血分証の熱がまだ残り、邪熱と瘀血が合間見えている。なので、お腹が空きやすく、たくさん食べられて、6,7日便秘する。これは瘀血が滞り溜まっているので、抵当湯をもって瘀血を攻下するのが適している。



第258条
若脉数不解,而下不止,必协热便脓血也。

如果攻下后脉数不除,而又腹泻不止的,是热邪下迫,势必会出现协热下利、解脓血便的变证。

もし攻下した後、脈の数が治らず、また下痢も止まらないのは、邪熱が下焦に迫り、熱がでて下痢し、膿血便になる。



第259条
伤寒发汗已,身目为黄,所以然者,以寒湿在里不解故也。以为不可下也,于寒湿中求之。

伤寒病,发汗以后,出现全身及两目发黄,这是因为发汗太过,损伤中阳,寒湿郁滞在里不解的缘故,治疗应当温化寒湿,不可用攻下法。

傷寒病で、発熱してから、全身と両目が黄色くなるのは、発汗し過ぎたため、中陽を損傷して寒質が裏に鬱滞したたためである。治療には寒湿を温めて消す(温化寒湿)必要があるので、瀉下法は用いてはならない。



第260条
伤寒七八日,身黄如橘子色,小便不利,腹微满者,茵陈蒿汤主之。
外感病六七天,皮肤发黄如橘子色,小便不通畅,腹部稍感胀满的,用茵陈蒿汤主治。

外感病に罹り6,7日が経ち、皮膚がミカンの様に黄色くなり、おしっこの出も悪くなって、お腹が少し張った感じがする場合は、茵蔯蒿湯を用いる。



第261条
伤寒身黄发热,栀子柏皮汤主之。

外感病,症见皮肤发黄,发热的,用栀子柏皮汤主治。

外感病で、皮膚が黄色くなって発熱する場合は梔子柏皮湯を用いる。



第262条
伤寒瘀热在里,身必黄,麻黄连轺赤小豆汤主之。

外感病,湿热郁滞在里,身体必定发黄,如果兼有头痛、畏寒、无汗、身痒等表证的,用麻黄连轺赤小豆汤主治。

外感の病で湿熱が裏に鬱滞すれば、身体は必ず黄味を帯びる。もし頭痛、悪寒し熱はなく身体が痒いなどの表証もあるのであれば、麻黄連軺赤小豆湯を用いる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です