第210条〜第219条

第210条

夫实则谵语,虚则郑声。郑声者,重语也。直视谵语,喘满者死,下利者亦死。

谵语一般属实,郑声一般属虚。所谓郑声,是指语言重复、声低息微的症候。两眼直视谵语,并见喘喝胀满的,属于死候,并见下利的,也是死候。


通常、譫言は実に属し、鄭声は虚に属す。
なので、鄭声は言葉を繰り返して言い、声も低く弱々しいうわ言である。
両目を直視し譫言を言い、咳が出て大声で叫びむくむものは、死に至る、下痢するものも死に至る。


谵语:神志昏乱,语无伦次,声高气粗。
郑声:意识不清,语言重复,说了又说,声低息微。



第211条

发汗多,若重发汗者,亡其阳,谵语。脉短者死,脉自和者不死。


发汗太过,或重复发汗,阳气大伤,出现谵语,脉象短的,属于死候;如果脉与证相应的,不属死候。


汗をかきすぎる、もしくは幾度も発汗して、陽気をかなり傷つけ、譫言が出て脈が短なのは、死に至る。;もし脈と証が一致しなければ死なない。



第212条

伤寒若吐若下后不解,不大便五六日,上至十馀日,日晡所发潮热,不恶寒,独语如见鬼状。若剧者,发则不识人,循衣摸床,惕而不安,微喘直视,脉弦者生,涩者死。微者,但发热谵语者,大承气汤主之。若一服利,则止后服。

伤寒表证,误用吐法或下法之后,病仍然不解除,出现五六天甚至十余天不解大便,午后发潮热,不怕冷,谵言妄语,如见鬼神一样。病情严重的,就会出现神志昏糊、目不识人、两手无意识地乱摸衣被床帐、惊惕不安、微微喘息、两目直视,如果脉象弦的,尚有生机;如果脉象涩的,属于死候。
如果病情较轻,只见发潮热、谵语等证,用大承气汤主治。服药后,如果大便已通的,应停止服剩下的药。


傷寒表証で、誤って吐瀉法あるいは瀉下法を用いた後、病が依然として癒えず、5,6日からひどい場合は10日ほど便秘して、午後の決まった時間に熱が出て(潮熱)、寒気は無く、意味不明なうわ言をいい、その姿は鬼の様になる。重篤な場合は、意識が昏睡し、目視で人を判断できなくなり、両手は無意識に服をひねったり、布団の縁を撫でたり、驚き慄いて不安になり、少し咳が出て、両目を見開らく。もしこの時に脈が弦ならば、生存のチャンスはある。;脈が渋なら死に至る。
もし比較的軽い病状で、ただ決まった時間に熱が出たり(潮熱)うわ言などをいう程度なら、大承気湯を用いて治療する。服用後に便秘が治れば、残った分は服用しない。

循衣摸床:证名,亦作捻衣摸床。出《伤寒论·辨阳明病脉证并治》。多见邪盛正虚、持续高热或元气将脱的危重病证。两手不自主地抚捻衣被或以手循摸床沿,多与撮空捻线症候并见。是疾病危重的象征。



第213条

阳明病,其人多汗,以津液外出,胃中燥,大便必硬,硬则谵语,小承气汤主之;若一服谵语止者,更莫复服。

阳明病,病人汗出太多,导致津液外泄,肠中干燥,大便势必硬结;大便硬结,府气不通,浊邪上扰,则发生谵语,用小承气汤主治。
如果服一次药谵语就停止的,就不要再服剩余的药。


陽明病で、汗が多く出て、津液が外に出て(津液外泄)、胃の中が乾燥して大便は硬くなる。;臓器の気(腑気)が行き来できなくなり、濁邪(湿濁の邪)によってうわ言が出る。小承気湯を用いて治療する。
もし、一服でうわ言が無くなれば、残りは飲まなくて良い。

※現代中国語訳の中に「府气」とあるが「腑气」の間違いだと思われる。

【浊邪】多指湿浊之邪。《金匮 脏腑经络先后病脉証》:「清邪居上,浊邪居下 」。参见“湿浊”条。



第214条

阳明病,谵语发潮热,脉滑而疾者,小承气汤主之。因与承气汤一升,腹中转气者,更服一升,若不转气者,勿更与之。明日又不大便,脉反微涩者,里虚也,为难治,不可更与承气汤也。

阳明病,谵语,发潮热,脉象滑而疾的,用小承气汤主治。
于是给病人服小承气汤一升,服药后腹中转矢气而放屁的,可以再服一升;服药后腹中不转矢气的,就不要再服。
如果第二天又不解大便,脉象反见微弱而滞涩的,这是正气虚弱而实邪阻滞,正虚邪实,攻补两难,治疗十分棘手,不能再用承气汤了。


陽明病で、うわ言を言い、決まった時間に熱が出て(潮熱)、脈が滑で疾なら小承気湯を用いて治療するのだが、そこで一升(1L)を服用した後、お腹のガスが動いてオナラが出るなら、さらに一升を与える;もし、おなかのガスが動かないなら、さらに(小承気湯を)与えてはならない。
もし二日目も便通が無く、脈が返って微弱して滞渋するのは、正気が弱って、実邪が滞っている状態の正虚邪である。瀉するのも補うのも難しく治療にとても手を焼く。承気湯を再び用いることはできない。



第215条

阳明病,谵语有潮热,反不能食者,胃中必有燥屎五六枚也;若能食者,但硬耳,宜大承气汤下之。

阳明病,谵语,发潮热,反而不能进食的,是肠中燥屎已成,
宜用大承气汤攻下燥屎;如果尚能进食的,只是大便硬结,宜用小承气汤和畅胃气。


陽明病で、うわ言を言い、決まった時間に熱が出る(潮熱)が、食べられないのは腸内に燥屎があるからである。
大承気湯が燥屎を下すのに適している;もし、食べられるのであればただ単に便が硬くなっているだけなので、小承気湯を用いて胃気を調えるのがよい。



第216条

阳明病,下血谵语者,此为热入血室,但头汗出者,刺期门,随其实而写之,濈然汗出则愈。

阳明病,经行下血而谵语的,这是热入血室,如果只见头部出汗的,可以针刺期门,以泻血室的实邪,使血热得以宣泄,则周身畅汗而痊愈。


陽明病で、不正出血しうわ言を言うのは、熱が子宮(血室)に入ったからで、もし頭部に汗が出るだけなら期門に針をする。血室の実邪を瀉して、血熱を排出させることで、全身から程よく汗が出て治る。



第217条

汗出谵语者,以有燥屎在胃中,此为风也,须下者,过经乃可之下之。下之若早,语言必乱,以表虚里实故也。下之愈,宜大承气汤。

汗出谵语的,这是外有太阳中风,内有燥屎阻结。燥屎内结必须用泻下法治疗,但是须待太阳表证解除后才能攻下。
如果攻下过早,就会导致表邪尽陷而里实益甚,出现神昏语言错乱。
如果表证已解而里实未去,用攻下法治疗就会痊愈,可用大承气汤。


汗が出てうわ言を言うのは、外は太陽中風で、内は燥屎が留まっている。燥屎が内に詰まっているのは瀉下法で治療する必要があるが、先に太陽表証が解けるのを待ってから瀉下しなくてはならない。
もし瀉下が早すぎると、表邪は裏に陥り、裏実はますますひどくなり、意識は朦朧として言葉が錯乱しだすだろう。
もし、表証がすでに解けて裏実がまだある場合は、瀉下法を用いると治るだろう。大承気湯が使える。



第218条

伤寒四五日,脉沉而喘满,沉为在里,而反发其汗,津液越出,大便为难,表虚里实,久则谵语。

外感病四五天,症见脉沉、气喘、腹部胀满。脉沉主里,可知其病在里,却反而用发汗法治疗,汗出津液外泄,津伤肠燥成实,所以大便硬结难以解出。
津液外越而虚,津伤肠燥成实,时间一长,就会发生谵语。


外感の病に罹り4,5日が経ち、脈が沈で、喘息して、お腹が張る。脈が沈なのは病が裏にあることを示す。却って発汗法で治療すると汗として津液が出てしまい、津を傷つけて腸燥成実となり、大便が硬くなり出にくくなる。
津液が出て虚になると、腸燥成実となって、さらに長引くとうわ言が出る。



第219条

三阳合病,腹满身重,难以转侧,口不仁,面垢,谵语遗尿。发汗则谵语。下之则额上生汗,手足逆冷。若自汗出者,白虎汤主之。

太阳、阳明、少阳三经合病,腹部胀满,身体沉重,转侧困难,口中麻木不仁,面部垢浊,谵语,小便失禁,如见身热、自汗出的,是邪热偏重于阳明,用白虎汤主治。
如果用发汗法治疗,就会使谵语更甚;如果妄行攻下,就会造成额上出汗,四肢冰冷的变证。


太陽、陽明、少陽の三経が合わさった病に罹患して、お腹が張って、身体は重たくなり、寝返りが困難で、口の中が痺れて感覚を失い、顔は垢で汚れ、うわ言を言い、小便失禁し、身体は熱く、自汗が出る。これは熱が陽明に偏重している。白虎湯を用いて治療する。
もし発汗法で治療するとうわ言はさらに酷くなり、全く道理にかなっていない瀉下法を用いると、額に汗が出て、四肢は氷のように冷たくなる。

第210条〜第219条」への1件のフィードバック

  1. yokoyama1688 投稿作成者

    (第216条について、仁氣堂 遠藤 和人先生よりfacebook上で頂いたコメントを転載します。)
    原典の「下血」を中文では「経行下血」と訳されていますが、これは、「血室」を子宮と解釈した場合。
    漢方用語大辞典によると、血室:①衝脈(奇経なのですが、まぁ、経絡の一種と思って下さい。)②肝のこと。③子宮のこと。
    とされています。
    血室を①や②と解釈すると、下血は「血便」と考えることもできると思います。
    これを踏まえて原典を読み直すと、陽明病について書かれている条文なので、半表半裏と考えれば、下血は血便と考えるのが妥当な気がしてきます。

    しかし、血室を子宮=女子包と考えれば、子宮は肝の範疇なので、肝経の期門を刺すという内容もスジは通っています。

    毎度毎度、ツッコんでばかりで恐縮ですが、結論、私にはどちらなのか判断できません(^_^;)
    勉強する機会を与えていただき、感謝。

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