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まとめ:ワンフレーズ(民法)/司法書士

(作成中)
2022.12.3:まずは講義を回転させることを最優先させよう。→まとめなどは2集目から取り組む。

総則

物件

  • 不動産の公示制度
     物権の設定及び移転は、意思表示のみによって効力を生ずるから、 必ずしも公示されるとは限らない。むしろ制度的には、実際の権利関係と公示の内容とが一致しない場合が生ずることを見込んでいるといえる。
     それでは、このような不動産物権の公示制度の役割はどのようなものであるのか。 一般に、〔公示されていない権利は存在しないという、いわば『権利の不存在」についての信頼を保護している〕 といわれている。 これは 〔公示されていない権利については、 何人からも主張されることはない〕ことを意味する。
     反対に、 〔公示された内容を信頼して取引をしたとしても、取引の相手方が無権利者である場合には、公示されている権利を取得することはできない〕。なぜなら、〔何人も、自己が有するより多くの権利を他人に譲渡することはできない〕からである。つまり 〔公示されているとおりの権利が存在するという、いわば『権利の存在』についての信頼を保護している〕 わけではない。(H7-11)
  • 登記のある賃借権は、物件化する。
    (その不動産の物件を取得した者や第三者に対抗できる。)
    物権的妨害排除請求権も行使できる。

債権

家族法

  • 制限行為能力者の相手方の保護の制度:催告権
    後見人に後見監督人が付いている場合の一部の行為は、後見人に催告をして、確答を得られない時は、取消擬制となる。
    (単純に、この場合の後見人は、単独で追認できない者だから)
    • (後見監督人の同意を要する行為)
      第八百六十四条 後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。
      第八百六十五条 後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
       前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。
  • 成年後見の裁判所の職権
    • (後見開始の審判)第七条 家庭裁判所は、(中略)の請求により、後見開始の審判をすることができる。→請求によるので、裁判所の職権では審判開始はできない
       成年被後見人について精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるとはいえなくなったときも、裁判所は請求により後見開始の審判を取り消さなければならないが、職権ではできない。(第10条)
       成年被後見人について保佐開始・補助開始の審判がなされる場合には,家庭裁判所の職権で後見開始の審判が取り消される(民19条2項)。
    • (成年後見人の選任)第八百四十三条 家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する
  • 未成年者の遺言
     未成年者は、遺言はできるが遺言執行者にはなれない。
    • (遺言能力)第九百六十一条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
    • (遺言執行者の欠格事由)第千九条 未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
  • 不在者と失踪
    • 不在者の財産管理:検察官の請求OK
       不在者とは、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者のこと。したがって、生死が不明の者だけでなく、生存や所在が明らかな者も含まれる。(生きていて、どこにいてるかが分かっている者でも、容易に戻れなければ不在者。)
      • 不在者の財産を管理する者がいない場合に、家庭裁判所は、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、利害関係人又は検察官の請求により、不在者財産管理人を選任することができる。
      • 家庭裁判所が選任した管理人は,家庭裁判所の許可を得ないで,不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した判決に対し控訴することができる。
        応訴や控訴などもすることができる。(裁判上の行為もできる。)
    • 失踪宣告:検察官の請求不可
       不在者の生死が明らかでない状態が一定期間継続した場合に、その者を死亡したとみなすことにより、従来の住所を中心とする法律関係を確定させる制度のこと(民法第30条)。
       要するに「生死不明の不在者」のこと。
       家庭裁判所は、利害関係人の請求(配偶者、推定相続人、親権者、死亡保険金受取人等)により、失踪の宣告をすることができる。
      • 失踪宣告の取消し
        • 失踪者が死亡したものとみなされた時と異なる時に死亡したことの証明があったときは,家庭裁判所は,本人又は利害関係人の請求により,失踪宣告を取り消さなければならない(民32条1項前段)。この失踪宣告が取消しがあった時に始めて、現実の死亡時期となる
        • 失踪宣告の取消しは,失踪の宣告後その取消し前に(双方が)善意でした行為の効力に影響を及ぼさない(民32条1項後段)。この場合の「善意でした行為」については,行為時に当事者双方が善意であることを要するとされている(大判昭13.2.7)。
          ※虚偽表示等の第三者保護と勘違いしやすいので注意!!!。例)Aが失踪宣告を受け、その妻BがAの生存につき悪意、財産を譲り受けたCが善意であっても、その後失踪宣告取消しを受けたら、行為は有効にはならない。
      • 夫婦の一方は,配偶者の生死が3年以上明らかでないときは,離婚の訴えを提起(裁判上の離婚手続きにより)することができる(民770条1項3号)。
    • 権利能力なき社団
      • 登記
        • 代表者名義
        • 構成員全員の名義
        • 規約に基づく特定の構成員の名義
    • 表示の錯誤
    • 動機の錯誤
      • 動機の表示は黙示的になされたものでも足りるとしています(大判大3.12.15,最判平元9.14)。
      • 身分行為については,錯誤の規定は適用されない。
         資産家と勘違いして結婚しても、動機の錯誤による取消しは主張できない。婚姻の無効原因は以下の2つ。
        第七百四十二条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
         人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
         当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第七百三十九条第二項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。
        • 身分行為の例外。相続放棄のように財産上の行為にかかるときは,錯誤の規定が適用される(最判昭40.5.27)。
      • 当事者が和解契約によって争いをやめることを約した場合には,合意した内容で法律関係を確定させるという和解の趣旨に鑑み,その争いの目的である事項につき錯誤があったときでも,錯誤の規定の適用はない(最判昭43.7.9)。
        (争いの目的である事項以外につき錯誤があった場合には,錯誤の規定の適用の余地はある。)
    • 詐欺
      • 要件
        1. 詐欺の故意があること
          • 錯誤に陥れる故意
          • それに基づいて意思表示をさせる故意
        2. 欺罔行為があること
           積極的に働きかける場合のみならず、沈黙していた場合であったとしても、それによって相手方が錯誤に陥った場合、事情によっては詐欺となる。
        3. その行為によって相手方に錯誤が生じたこと。(因果関係)
        4. その錯誤によって意思決定がされ、意思表示がされたこと。
      • 詐欺による意思表示の取消しは,善意無過失の第三者に対抗することができない(民96条3項)。
        錯誤による意思表示の取消しは,善意無過失の第三者に対抗することができない。(民95条4項)。
        取消権は,追認をすることができる時から5年間行使しないとき,又は,行為の時から20年を経過したときは,時効によって消滅する。(詐欺のみではなく、追認権すべてにおいて同じ期間)
        (取り消すことができる時からではない。→例えば、詐欺の場合の取り消しは「詐欺に気がついた」時から5年」)
    • 脅迫
      • 強迫によって完全に意思の自由を失って意思表示した(意思無能力の状態でした意思表示)場合,その意思表示は当然に無効になる。(民3条の2)。
      • 強迫による意思表示は取り消すことができる(民法第96条第1項)。

意思表示

  • 観念の通知
    • 債権の譲渡における債務者に対する通知
  • 意思の通知
    • 債務務の履行の催告
  • 遺言は,単独行為による意思表示。
  • 公示による意思表示
     公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされる。
    ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
  • 到達主義の例外
     相手方の催告に対する制限行為能力者側の確答(民法第20条)は、例外として、発信主義がとられている。
     クーリングオフ(割賦販売法第35条の3の10第2項)も発信主義。
  • 虚偽表示
    • 94条2項の第三者
      該当する:虚偽表示による譲受人の債権者で、その目的物を差し押さえた者。
      該当しない:虚偽表示により債権を取得した者から、その債権を取り立てのために譲り受けた者。
      該当しない:虚偽表示により債権が譲渡された場合の債務者。
    • (問)Aは,Bに対して貸金債権を有していたところ,AとCとが通謀して,当該貸金債権をCに譲渡したかのように仮装した。その債権譲渡を承諾したBは,債権譲渡が無効であるとして,Cからの貸金債権の支払請求を拒むことはできない。(→×
      • 仮装債権譲渡における債務者は民法94条2項の第三者に当たらない。が、そもそも仮装の債権譲渡がされた場合,「当該債権譲渡は無効であるから、債権者は仮装譲渡人のまま」であるため,債務者に対し何らの債権も有しない仮装譲受人からの請求を、債務者は拒否できる。

代理(基本、本人A、代理人B、相手方C、複代理Dとする)

  • 代理人であるBが,Aの代理人であることを示さずに,自らがAであると称した場合において,BがAのためにする意思を有する場合には,有効な代理行為となり,売買契約は,BC間に成立する(大判大9.4.27)
    • 例外と原則
      • 顕明がない場合。
        代理人が本人のためにすることを知り,又は知ることができたときは,本人に対して直接にその効力を生じる(民100条)
        (相手方が善意・無過失であれば 、代理人と相手方とが契約したことになる。)
      • 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合
         相手方がその目的を知り,又は知ることができたときは,その行為は,代理権を有しない者がした行為とみなされる。
        (相手方が善意・無過失であれば有効となる。)
      • 無権代理の相手方の取消権
        善意であれば良い(有過失でも取り消せる。)(ただし、本人が追認しない間に限る)
        (悪意であれば取り消せない)
      • 相手方の無権代理人への責任追求。
        代理権が授与されていないことにつき善意,無過失でなければ無権代理人への責任追求はできない。
  • 無権代理の立証責任
     民法117条による無権代理人の責任は,法律が特別に認めた無過失責任であるとされている(最判昭62.7.7)。従って,相手方は,代理人の故意又は過失を立証する必要はない。
    第117 条 他人の代理人として契約をした者は,自己の代理権を証明したとき,又は本人の追認を得たときを除き,相手方の選択に従い,相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
    • 無権代理人が責任を逃れるための事実の主張については無権代理人側に立証責任がある。
    • 無権代理人自らが、表見代理を主張することはできない。(最判昭62.7.7)
      →相手方Cは表代理を主張せず直ちに無権代理人の責任を問うことができる。
  • 無権代理人が行為能力の制限を受けていたときは,無権代理人の責任を追及できない(民117条2項3号)
  • 代理行為の瑕疵は代理人を基準として決するという原則の例外
     相手方Cから動産を購入した際に、Aが即時取得するには、Bが善意無過失であってもAが事情を知っていた場合は、Aは即時取得できない。
     特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは,本人は,自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができず,このことは,本人が過失によって知らなかった事情についても同様(民101条3項)。

期限・条件

  • 貸金債権の弁済期を債務者が結婚する時と定めた(債務に不確定期限を付した)とき、債務者が結婚しないまま死亡した場合は、債務者が死亡して結婚しないことが確定してXの貸金債権の期限が到来し、XのYに対する請求が認められる。なので、債務者の相続人に当該貸金債権の弁済を請求しえる。(X債権者、Y債務者)
    • 出世払い
      • 「自分が出世したら返済する」と約束して借金するような,いわゆる出世払い特約の場合,出世払い特約の内容に,出世の見込みがなくなったときには返済しなければならないということが含まれていた場合。→不確定期限
        (不確定期限付消費貸借であるとするものもある)
      • 出世しなければ返済しなくてもよいというのが当事者の意思の場合→条件に該当すると考えられている。
  •  条件には遡及効が認められるが、期限には遡及効は認められない。
    ※期限はすなわち「時期」なので、期限に遡及効を認めることは、期限の性質上そぐわない。仮に、3年後の誕生日に何らかの法律効果が発生するとして、期限が到来してら、2年後の誕生日に発生を遡らせるのであれば、最初から2年後の誕生に法律効果が発生するようにしておけばいいことだから・・・か?

時効(消滅時効、取得時効)

  • 消滅時効
    • 債権は、権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間で時効によって消滅する。
    • 売主の担保責任に係る損害賠償請求権の消滅時効
      売主の担保責任に係る損害賠償請求権の消滅時効は,買主が目的物の引渡しを受けた時から進行するとされている(最判平13.11.27)。
    • 時効利益の放棄の効力は,放棄した者だけに及び,その他の者には及ばない(相対効)。したがって,主たる債務者がなした時効利益の放棄は,保証人に対して効力を生じず,保証人は,主たる債務について時効を援用することができる(大判大5.12.25)。
    • 契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権
       契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は,本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって,本来の履行請求権と法的に同一性を有するとみることができる。債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は,本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するとされている(最判昭35.11.1)。
    • 契約の解除による原状回復請求権
       契約の解除による原状回復請求権は,解除によって新たに発生する。その消滅時効は,契約の解除の時から進行する(大判大7.4.13)。
    • 割賦払債務
      割賦払債務について,債務者が割賦金の支払を怠ったときは債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定がある場合における残債務の消滅時効は,各割賦金債務については約定の弁済期ごとに順次消滅時効が進行し,債権者が特に残債務全額の弁済を求める意思表示をしたときは,その請求の時から残債務全額についての消滅時効が進行します(最判昭42.6.23)
  • 取得時効
    • 地役権は,継続的に行使され,かつ,外形上認識することができるものに限り,時効によって取得することができる(民283条)
      (通行地役権においては,要役地所有者による通路の開設が必要とされている(最判昭30.12.26)
  • 取消権の時効
     取消権は,追認をすることができる時から5年間行使しないとき,又は,行為の時から20年を経過したときは,時効によって消滅する(民126条)。
  • 制限行為能力者の債務の承認
    • 未成年者や成年被後見人は単独で有効に債務の承認をすることができない。
    • 被保佐人は保佐人の同意なしに債務の承認をすることができる。
       時効の更新の効果を生じる債務の承認をなすには,管理行為の能力・権限は必要ですが,処分する行為能力・権限は不要(民152条2項)であり、被保佐人は処分する行為能力・権限はないものの,管理能力・権限は有している。
  • 詐害行為取消請求に係る訴え
     債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。行為の時から10年を経過したときも、同様である。
  • 弁済期の定めのない債権は,債権成立時からいつでも履行を請求することができ,つねに弁済期にあるといえる。

債務不履行

  • 債務不履行の損害賠償の減額と、不法行為の損害賠償の減額
     債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定めます(民法第418条)。
    ※債務不履行は、債権者の責任・額を必ず考慮する。
     不法行為において被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができます(民法第722条第2項)。
    ※不法行為は、被害者の額を考慮できる。→責任の有無について被害者の過失を斟酌できない。
  • 損害賠償責任の遅滞
    債務不履行に基づく損害賠償債務は,期限の定めのない債務とされている(最判昭55.12.18)。債務者は,履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
    不法行為に基づく損害賠償債務については,不法行為時(損害発生時)から遅滞となる。

債権者代位権

  • 債権譲渡の通知は,譲渡人自身が行使しなければならない一身専属権。→代位行使できない。
    質権設定の対抗要件は、債権譲渡の規定に従う。質権の設定通知も設定者自身が行使しなければならない一身専属権となる。
  • 債権譲渡
    • 債権譲渡の通知 ⇒ 代位行使できない
    • 債権譲渡の通知請求権 ⇒ 代位行使できる

詐害行為取消権

  • 詐害行為取消権を行使する際に、被保全債権の履行期が到来している必要がない
    • 債権者代位権の場合は、原則、履行期が到来している必要がある。(保存行為を除く)
  • 無資力条件は、債務者自身を基準に判断しする。
     保証人や連帯保証人,物上保証人がいたとしても,債務者自身が無資力であれば,債権者は詐害行為取消権を行使することができる。この趣旨は連帯債務についてもあてはまる。連帯債務者の1人が詐害行為をした場合に,その他の連帯債務者の資力の有無を考慮する必要はない(大判大7.9.26)。

多数当事者の債権・債務

  • 賃借権を有する者が死亡して共同相続された場合の賃料債務
     特段の事情がない限り,不可分債務になるとされている(大判大11.11.24)。
     賃料債務自体は金銭債務だが,目的物の使用収益という不可分の給付を目的とするものの対価であることから,その対価も性質上不可分と考えられる。したがって,債権者(賃貸人)は,共同相続人が複数いてる場合でも、一人に対して,相続開始後の賃料全額を請求することができる。
  • 主たる債務者が期限の利益を有する場合において,その利益を喪失したときは,債権者は,保証人(個人の場合)に対し,その利益の喪失を知った時から2ヵ月以内に,その旨を通知しなければならない(民458条の3第1項)。
  • 第1の弁済の事後通知,第2の弁済の事前通知のいずれも怠った場合には,原則に戻って第1の弁済が有効となる(最判昭57.12.17)。
    事後通知を怠った場合の規定は,事前通知を怠った者まで保護する趣旨ではないため。

債務引受け

保証人の求償権

  • 事前通知・事後通知
    • 主たる債務者は、事前通知を行う必要ない。主たる債務者が保証人に求償することはないため。
    • 委託を受けていない保証人については、弁済等をしたときに求償することができる額に制限が加えられているため、事前通知義務は課されていません。
    • 事後通知義務は、委託を受けた保証人主たる債務者の意思に反しない委託を受けていない保証人に対して課される。
       一方、主たる債務者の意思に反している委託を受けていない保証人は、事後通知の有無に関係なく、債務消滅行為をした主たる債務者に劣後する。
  • 連帯債務と、複数の連帯保証人の求償権
     連帯債務者の1人が弁済をし,その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは,その連帯債務者は,その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず,他の連帯債務者に対し,その免責を得るために支出した財産の額のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する(民442条1項)。
     連帯保証人が複数で,連帯保証人の1人が債務の全額を弁済した場合,その連帯保証人は,自己の負担部分を超える弁済をしたときにかぎり,他の連帯保証人に対し求償することができるとされている(大判大8.11.3)。

相殺

  • 弁済期の定めのない債権は,債権成立時からいつでも履行を請求することができ,つねに弁済期にあるといる。つまり、弁済期の定めのない債権を自動債権として相殺するときに制限はない。(受動債権の場合には、もともと弁済期の縛りもないので、弁済期の定め云々はそもそも関係ない)

定期借地権

狭義の定期借地権

  • 狭義の定期借地権
    狭義の定期借地権とは、50年以上の存続期間を指定し、建物買取請求権排除の特約つきで設定される借地権のことです。期間満了時に、借地権者は、土地を更地にして返還しなければならない。
    狭義の定期借地権の設定は、公正証書の書面によってしなければならない。
  • 事業用借地権
     事業用借地権とは、事業の用に供する建物所有(居住の用は含まれない)を目的とするものであって、所定の存続期間を指定して設定された借地権のことです。事業用借地権の設定は、公正証書によってしなければならない。
    • 存続期間が10年以上30年未満の場合
       特約を待つまでもなく、法定更新に関する規定の適用はなく、建物買取請求権に関する規定の適用もないので、期間満了時に土地を更地にして返還しなければならない。
    • 存続期間が30年以上50年未満の事業用借地権
       当事者間で法定更新排除特約をし、建物買取請求権排除特約をすることにより、期間満了時に更地での土地の返還が可能となります。
  • 建物譲渡特約付借地権
     建物譲渡特約付借地権とは、30年以上の存続期間を指定し、かつ、期間満了時点で借地上の建物を地主に相当の対価で譲渡するとの特約つきで設定される借地権のこと。
     期間が満了すれば、建物譲渡特約の効果として、建物所有権が借地権設定者に移転することになる。借地権は当然に消滅し、借地権設定者のもとに土地が返還され、建物の存立も確保される。
     また、借地権者や建物賃借人が請求すれば、請求の時点で、建物について、期間の定めのない建物賃貸借契約が成立したものとみなされる(借地借家法第24条第2項)。

家族法

親族

親子

  • 親権の喪失と停止の審判
    • 喪失
      子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官は、
      • 父または母による虐待または悪意の遺棄があるとき、
      • 又は父または母による親権の行使が著しく困難または不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、
         その父又は母について、親権喪失の審判を求める請求をすることができる(民法第834条本文)。
        (※家庭裁判所は、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、親権喪失の審判をしないことができる(民法第834条ただし書)。)
    • 停止
      子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官は、
      • 父または母による親権の行使が困難または不適当であることにより子の利益を害するときは、
        親権停止の審判を求める請求をすることができる(民法第834条の2第1項)。
        (※家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める(同条第2項)。)
        (※親権停止の審判がなされた場合、親権喪失と同様の効果が生じる。)

        (※停止には「父または母による虐待または悪意の遺棄」の条件がない。)
  • 未成年後見の開始
    • 親権を行う者がいないとき、又は
    • 親権を行う者が管理権を有しないとき
  • 未成年後見人と成年後見人の戸籍と登記
    • 未成年後見人が選任された場合には,未成年被後見人の戸籍にその旨の記載がされる。(戸籍法第13条第8号・戸籍法施行規則第30条第1項・同規則第35条第5号)
    • 成年後見人が選任された場合には,被後見人の戸籍にその旨は記載されることはなく登記がされる。(後見登記第4条)

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