読後感

法廷遊戯:五十嵐律人

タイトル:法廷遊戯
初版:2020年7月13日
発行:(株)講談社
著者:五十嵐律人[いがらしりつと]

 全体としては、話の流れや物語はわかりやすく、文体や表現も平易に書かれていて読み易い。

 目まぐるしく展開する物語に、徐々に繋がってくる登場人物の過去と現在(事件)。特に後半は、伏線の回収を含めて、小気味よく進んでいく。

 読みやすい反面、伏線も分かりやすく(読んでいて「これが後からの伏線だな。」とわかりやすい)、ちょっと重厚さと言うか、流れが軽いとも感じた。ミステリー小説なんだから娯楽的なのは当然なんだけど。この辺りはわたし自身の読解力の無さや感受性の低さが要因かな?

 ただ、読了後には、また裁判の傍聴に出かけてみたくなった。なので、(法律の)専門的な知識がない人間(私)には十分に楽しめた小説だった。

 それはそうと、「司法試験が終わって、結果発表まで」のくだりがあった。調べてみたら、司法試験は通常5月で結果発表が9月みたい。意地悪なツッコミだけど、表紙にも描かれている竜胆[リンドウ]って10月末から11月に咲く花。お墓参りに手向ける場面があるけれど、普通に売ってるんかなぁ?(竜胆が何月に咲くとか普通は気にしないからまったく問題ないけれど)

 (以下、いわゆるネタバレ的なところを含む) 

 「墓荒らし」と「何でも屋」の繋がりがあったと言う設定はちょっと無理があったかなぁ。借りがあるとかないとかのくだりがあったわりに、結局どう言う繋がりか分からなかったし。

 佐久間悟のものとして盗撮用のペン型カメラに映った写真が証拠とあるけれど、タイムスタンプ(場合によっては撮影場所)も記録されているので本人のものではないといくらでも証明できると思うけれど。それ以前に、最後の最後に明らかになる「突き落としたのが主人公(久我清義)」であれば、どうやってそんなもの(盗撮用カメラ)を忍び込ませられる?(普通は人だかりができて、到底そのような隙はないと思う。)。

 この2点はミステリー小説として強引すぎる気がするが、私の気にしすぎ?

 ハンムラビ法典についての結城馨が久我清義に解説する場面があったけれど、さすがにちょっと無理があるかな? 理系大学で法学を一般教養でしか学んだことのない私でも知っているので、仮にも法曹の道を目指している主人公(久我清義)が知らないわけないと思う。全体の主題や話の流れ上、(読者に)解説する必要があるので、こういう専門的な知識を必要と小説のいたし方ないところなのか?

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