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まとめ:訴えの利益(処分性、原告適格、協議の訴えの利益)

処分性

原告適格

(狭義の)訴えの利益

処分性

○処分性が認められた例

  • 直接強制や即時強制などの権力的事実行為は処分性が肯定される可能性が高いようです(最判平11・1・21、最判平9・3・11)。(STUDYINGより)(事実行為)
     詳細の判例わからず。
  • (旧)関税定率法に基づく税関長の輸入禁制品に該当する旨の通知(最判昭54・12・25)(事実行為:通知)
     観念の通知ではあるとは言うものの、もともと法律の規定に準拠されたものであり、「輸入禁止製品に該当する貨物と認めるに相当の理由がある。」なんて通知されたら、貨物の輸入ができなくなると言う実質の効果がある。だから行政庁の処分、公権力の行使に該当する。
  • 食品衛生法に基づく検疫所長の通知(最判平16・4・26)(事実行為:通知)
     結局、これも輸入の許可が受けられなくなる内容を含む通知なので処分性がある。
  • 登録免許税法に基づく過誤納金の還付請求に対する登記機関の拒否通知(最判平17・4・14)(事実行為:通知)
     登記をした人が簡易早急に還付を受けることのできる手続を利用できるメリットを奪うから。
  • 横浜市立保育園廃止処分取消請求事件(最判平21・11・26)(規範定立行為:条例)
     保育所廃止により、特定の人(入所中の園児と保護者)に不利益が生じるから。
     (現に保育を受けている児童及びその保護者は、保育の実施期間が終了するまでの間は当該保育所における保育を受けることを期待し得る法的地位を有す。)
  • みなし道路(建築基準法42条2項)一括指定(最判平14・1・17)(規範定立行為:条例)
     その敷地の所有者に具体的な私権の制限(建築などが制限させる)を生じさせるから、処分性は認められる。
  • 土地区画整理組合の設立の認可(最判昭60・12・17)(中間的行為:行政計画)
    組合は強制加入やし、後から実質上の減歩や換地、造成などの具体的な行為が発生するんやから、そりゃ処分と言わずしてなんと言おうか。
    • 土地区画整理事業事業計画の決定(最判平20・9・10)
       施行区域内の宅地所有者等が土地区画整理事業の手続によって換地処分を受けるべき地位に立たされるから。
    • 都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の事業計画の決定(最判平4・11・26)(中間的行為:行政計画)
    • 土地改良事業の施行認可(最判昭61・2・13)
  • 供託金取戻請求に対する供託官の却下(最判昭45・7・15)(私法上の行為)
     供託官が行政機関としての立場から、理由があるかないかを判断した上で、供託物取戻請求を理由がないと認めて却下したんだから、それは行政処分じゃろ。

     (拒否が民法上の寄託契約における「履行拒否にすぎないものとは言えない」ため)
  • 労働基準監督署長による労災就業援護費の支給決定(最判平15・9・4)(私法上の行為)
     法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使である。
  • 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止勧告(最判平17・7・15)
     勧告だけならいいが、保険医療機関の指定を受けることができなくなるオマケ付き。
     そうなると、自費診療しかできなくなり(健康保険が使えない)、国民皆保険制度の下では経営が成り立たない。(自費診療を掲げるところがないわけではないけれど。)
  • 登記官が不動産登記の表題部に所有権を記載する行為(最判平9・3・11)
     ただの作業やんけ!と言いたいところだが、所有者と記載された特定の個人に所有権保存登記申請をすることができる地位を与えるという法律行為を有するから行政処分。
    • 市町村長が住民票に氏名を記載する行為(最判平11・1・21)
       これもただの作業やんけ!と言いたいところ。選挙人名簿に登録されるかどうかに影響を及ぼすから行政処分。
      (ただし、住民票に世帯主との続柄を記載する行為は法的効果がないから処分性はない。)
  • 労働基準監督署長が行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定(最判平15・9・4)
     決定によって初めて具体的な支給請求権が得られるから。
    (※労災就学援護費とは、労働災害による重度障害者、⻑期療養者及び遺族年金受給者のうち、学費等の支弁が困難と 認められるものに対し、当該受給者又は当該受給者と生計を同じくしている子の学費の一部を支給するもの(社会 復帰促進等事業))

×処分性が認められなかった例

  • 公立学校の儀式行事において学校長が発する職務命令。(最判平24・2・9)(通達)
     卒業式の主役である生徒たちのことも考えず、自分のイデオロギーだけで国旗に向かって起立もしない、国歌斉唱もしない、ピアノ伴奏もしない、反日クソ教師どもだな。と言う感想しか出ないわ。
     しかも、公務員ということは、その嫌いな国家(日本)の税金から給料をもらい生かしてもらっていることを恥じるべきだ。反日活動の良し悪し以前に「人としてのプライド」はないのか?

     しかも「精神的苦痛を負った」ということで損害賠償まで請求している。
  • ごみ焼却場設置行為(最判昭39・10・29)。(事実行為)
     東京都が私人から購入した土地に、ごみ焼却場を設置した例。
     ごみ焼却場設置行為は事実行為で、住民に直接の権利義務を形成していないから行政庁の処分にあたらない。
  • 東京都職員の採用内定通知の取消し(最判昭57・5・27)(事実行為:通知)
     そもそも(採用の)内定であって、採用の法的義務はない。
     なので、取り消しもただの連絡でしかない。(解雇などの処分ではない)
  • 道路交通法に基づく交通反則金納付の通告(最判昭57・7・15)(事実行為:通知)
     通知による納付は「任意」である。納付をすれば公訴提起を免れるだけであり、無視してもOK、なので行政庁の処分にはあたらない。
     →公訴提起されても、刑事訴訟手続で争う道はあるから、と言うことか?
  • 通達の例(最判昭43・12・24)(行政の内部行為)
     墓地、埋葬等に関する法律解釈の内部通達。
     具体的には、寺院が他の宗教団体(創価学会)ということで、埋葬を拒否することは「正当な理由」になたらない。との通達。
     あくまでも行政機関内の通達(上級→下級)なので、処分性はない。
  • 消防法7条に規定する建築許可に対する消防長の知事に対する同意(最判昭34・1・29)(行政の内部行為)
     消防署長と知事の行政機関相互のやりとりであり、直接国民の義務を形成する行為ではない。
  • 日本鉄道建設公団(下級行政機関)が、運輸大臣(上級行政機関)の指示を受けて策定した成田新幹線建設工事実施計画に対する運輸大臣の認可処分(最判昭53・12・8)(行政の内部行為)
     国鉄時代の話。同様に工事計画は行政機関の内部の話。
  • 水道料金を一般的に改定する改正条例制定行為の処分性(最判平18・7・14)
     値上げ(改定)するのは、お前だけじゃねぇ。って考えたらわかる。
  • 国有財産法上の国有財産の払下げ(最判昭35・7・12)
     私法上の売買と解され行政処分にあたらない。(行政庁が優越的地位に基づいて行う公権力の行使ではない。)
  • 市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為(最判平11・1・21)
     民票に世帯主との続柄を記載する行為は法的効果がないから処分性はない。
    (※氏名を記載する行為は処分性あり。)
  • 都市計画法による用途地域の指定(最判昭57・4・22)
     土地所有者などに建築基準法上の新たな制約を課し、一定の法状態の変動を生じさせるが、法令が制定された場合と同様の当該地域内の不特定多数の者に対する一般抽象的なものにすぎない。直ちに個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとは言えない。
    • 都市計画区域内における工業地域を指定する決定(最判昭57・4・22)
       指定されただけでは、直ちに個人に対する具体的な権利侵害を伴う処分があったものとは言えないから。
    • 地区計画の決定・告示(最判平6・4・22)

原告適格

 原告適格とは、取消訴訟を提起することができる資格のことをいい、取消訴訟は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができるとされています(9条1項)。

 法律上の利益:処分を定めた法令が、原告の利益を保護する旨の趣旨について規定していなければならない。(≠裁判上保護に値するものであればよい。)

○原告適格が認められた例

  • 公衆浴場の許可を争う既存業者(最判昭37・1・19)
     最短距離を250m間隔と定めた条例があるのに、既存店から208メートルしか離れていないところに営業許可がでた。
     そりゃ、条例が違憲じゃなく適法なら、既存店に原告適格はあるわな。

    (※原告適格、訴えの利益ともに認められている)
  • 第三者に対する放送局の開設予備免許の付与を争う競願関係にある者(最判昭43・12・24)
     あいつ(乙)には免許が付与されて、俺は免許申請が拒否されたから、乙の免許も取り消すか、俺にも免許の許可を出せや。というのはOKってこと・・・か?
  • 空港の定期航空運送事業免許処分を争う、その空港の騒音に悩む周辺住民(新潟空港訴訟、最判平元・2・17)
     受忍すべき限度を超えた騒音(=騒音による著しい障害を受けない権利)があるから。
  • 原子炉の設置許可を争う周辺住民(最判平4・9・22)
     事故が起きたら、直接的かつ重大な被害を受ける可能性があるから。生命、身体の安全などの個々人として、保護される利益があるから。
  • 森林法の保安林指定処分が解除され、自己の利益を侵害された者(最判昭57・9・9)。
     洪水や渇水などのリスクがあり、訴えの利益はある。
     しかし、本件は代替施設の設置によって、訴えの利益が消滅した判例。
  • 地域の開発許可の取消しを求める当該地域の居住者(最判平13・3・13)
    土砂の流出や崩壊の災害により直接的な被害を受ける場合は、原告適格を有す。
  • 都市計画事業計画(小田急高架化訴訟)(最大判平17・12・7)
    実施されることによって、騒音、振動によって健康・生活環境に著しい被害を直接的に受けるおそれのある者には原告適格が認められる。
    ※事業地内の不動産につき権利を有しているか否かは問わない。
    →同判決では、付属街路を設置することを容認する都市事業計画については、不動産につき権利を有しているもののみ、原告適格が認められる。裏を返すと、不動産の権利を有していないと原告適格は認められない。
  • 総合建設許可(最大判平14・1・22、最大判平14・3・28)
     建築物によって、①倒壊、炎上などにより直接的な被害を受けることが予測される、②日照を阻害される範囲の住人には原告適格が認められる。
    ※総合建築許可:建築基準法に基づき、都市計画で定められた制限よりも容積率、高さ制限などを緩和して建築を許可すること。
  • 都市計画法に基づく開発許可処分について、開発区域外崖崩れによる被害が直接的に及ぶことが想定される一定の範囲の住民。(最大判平9・1・28)
     被害が直接及ぶんだったら、そりゃ認められないとね。
  • 風俗営業制限地域に居住する住人(最大判平10・12・17)
     良好な風俗環境の保全という公的な見地から風俗営業制限地域の指定の制度がある。居住者の個々人の個別的利益を保護する目的ではないから。

×原告適格が認められなかった例

  • 質屋の新規営業の許可を争う既存業者(最判昭34・8・18)
    近くに質屋ができても知らんがな。自由競争じゃ。ってことなんだろう。
  • 町名の変更を争う住民(最判昭48・1・19)
    そもそもこんなことで争い(提訴)する住民って・・・。
  • ジュースの商品表示の認可を争う消費者(最判昭53・3・14)/不服申立て
    表示方法が自分が納得できるものではないからって訴えを提起しようとすること自体が(以下、略)。
    ※不当景品類及び不当表示防止法は、個々の消費者の保護を目的としていない(公益保護が目的)
  • 農地転用許可を争う隣地農地の所有者(最判昭58・9・6)
    転用された土地に建物が建ったら、日照が悪くなったりという気持ちは理解できなくもないけれど、人の土地をどうしようと口出せんわ。
  • 公有水面埋立免許を争う漁業権を有する者(最判昭60・12・17)
    水面に直接権利を持っているわけではなく、水面の周辺の水面で漁業を営む権利があるだけ。
  • 鉄道の特急料金の認可を争う周辺住民(最判平元・4・13)
    いや、もう何ていうか・・・。周辺住民というだけで、特急料金の許可にいちゃもんをつけるなんて、完全にクレーマーやん。
  • 史跡の指定解除処分を争う学術研究者(最判平元・6・20)
    学術研究者の気持ちはわかるけれど・・・。そりゃこの訴えは無理があるわ。
  • 住宅地における風俗営業(パチンコ屋)の許可取消しを求めるその地域住民(最判平10・12・17)
    気持ちはわかる。パチンカスがうろつかれても嫌だし。でもまぁ、風俗営業法が保護しているのは「公益」であって、住民じゃないもんなぁ。
  • 墓地の経営許可の取消しを求める、当該墓地から300mに満たない地域に敷地がある住宅に居住する者(最判平12・3・17)
     墓地埋葬法は個々人の個別的利益を保護する目的ではないから。
  • 病院開設許可処分における付近の医師とその医師らが加入する医療法人等(最判平19・10・19)
     世の中、普通に病院が乱立してたりするけれど、何故にこの様な訴えを起こそうと思ったのか。単純じゃない理由がありそうな気がする。
  • 場外車券売場施設設置許可処分における周辺の住民・事業者(最判平21・10・15)
     自動車競技法は場外施設の周辺住民や事業者、医療施設の利用者の個別的利益を保護する趣旨ではない。
     ※医療施設等の開設者においては、利益を保護する目的を含む(原告適格あり)
  • 里道の用途廃止処分の取消訴訟(最判昭62・11・24)
     個別具体的な利益もなく、廃止されても生活に著しい支障がでないから。
    (※ただし住民に具体的な利益をもたらしていて、生活に著しい支障が生ずると言う特段の事情があれば原告適格が認められる余地がある)
  • 森林法に基づく林地開発許可処分について、周辺と地上に立木を有する者(最判平13・3・13)
     森林法は周辺土地の財産権までを個別的利益として保護する趣旨を含まない。
  • 鉄道の立体交差科にあたり付属街路を設置する内容の都市計画事業についての不動産につき権利を有しない近隣住民(最大判平17.12.7)
     不動産の権利を有しないのであれば、健康又は生活環境への著しい被害を直接的に受ける恐れはない。

(狭義の)訴えの利益

○訴えの利益が認められた例

  • 公衆浴場の許可を争う既存業者(最判昭37・1・19)
     公衆浴場法のように、新規開業の許可にあたって既設浴場からの距離制限を設けている場合には、これに違反する許可の取消しを既設浴場主から求めることは許される。
    (※原告適格、訴えの利益ともに認められている)
  • 公務員免職処分取消訴訟(最大判昭40・4・28)
     市議会議員に立候補したから、職員の地位がなくなるということは一緒。
     ただし、免職処分が取り消されたら、免職処分から立候補するまでの期間の間は職員としての地位が復活し、
    その間の給料とかがもらえるんやから、十分にメリットはあるやろ。
  • 原告の死亡と免職処分の取消訴訟(最判昭49・12・10)
     取消訴訟が認められても本人は死亡しているのだから、
    教員としての地位を回復できないけど、その間に貰えたはずの給料は相続対象なので、相続人が訴訟を継続することはできる。
     (余談)これってそもそも転勤命令に従わなかったからクビになったんであって、一般社会人からしたら教員がいかに俗世離れした感覚で生きているのかがわかる事案だと思う。
  • 運転免許の取消処分を争っている間に、その免許の有効期限が切れてしまった場合の訴えの利益(最判昭40・8・2)
     取り消されなかったら、「免許の再取得」をしなくていいんだから、そりゃメリット(訴えの利益)はあるだろ。
  • 運転免許の有効期間の更新にあたり、優良運転者である旨の記載のない免許証の交付をした場合の、当該更新処分の取消しを求める訴えの利益(最判平21・2・27)
     少なくも次回更新時に、簡易な更新手続きで済むとかのメリットがある。
  • 土地改良法に基づく土地改良事業施行認可処分の取消訴訟の係属中に、事業計画に係る工事及び換地処分が完了した場合の、当該認可処分の取消しを求める訴えの利益(最判平4・1・24)
     工事及び換地処分が完了して「原状回復が不可能になった」としても、訴えの利益は消滅しない。・・・なんで?。
     たとえ原状回復が不可能であったとしても、取り消されたら換地処分が影響を受けて、良い条件の換地処分を引き出せるとかがあるのか?

     まさか、「原状回復が不可能であったとしても、取消になったら俺の気分が晴れる」とじゃないだろうし。
    (追記)行政事件訴訟法第31条(事情判決)の適用に関して考慮されるべき事柄であり、事業の施工の許可の取消しを求める訴えの利益は消滅していない。・・・と言うことの様だ。が、これだけが事情判決を考慮されるところまで理由づけが納得できていない。
  • 公文書公開条例に基づく行政文書の非公開決定の取消訴訟において、当該行政文書が書証(文書を証拠として提出する証拠調べのこと)として提出された場合の、当該非公開決定の取消しを求める訴えの利益(最判平14・2・28)。
     訴えを起こした人は、「論点はそこじゃない!」「公開しなかったことを断罪しとるんじゃ、ボケ!!!」って言いたかったと思う(想像)
     さらにいうなら、「裁判に出られたら、易々と公開する程度の信念しか持ち合わせていないのであれば、最初から公開しとけや!」とも言いたかったと思う(想像)
    どんな内容の文書かは知らんけど。

×訴えの利益が認められなかった例

  • 違反建築物による除去工事が完成した場合の除去命令・代執行伝令書発布処分の取消(最判昭48・3・6)
    「だって、もう建物はないよ?」って話し。
     代執行費用の納付義務を免れる利益については、処分取消の訴えじゃなくて、代執行の費用納付命令について争って頂戴っていう判決。
  • 土地収用法による明け渡し裁決の、明渡しに関わる代執行の完了(最判平9・10・28)
     もう、代執行しちゃったから、取り消されても後戻りはできんよ。って感じか?
     参考:明渡裁決は、 起業者に目的物の現実的支配を取得させる効果を有するものであり、同裁決により目的物たる土地の所有者又は占有者が負う義務の内容は、その土地の現実的支配を移転するという事実行為をすることのみであり、これらの行為が行われ、完了した場合には、 同裁決はすでにその目的を達しており、もはや土地の所有者が負うべき義務は存在せず、したがって、 目的物たる土地の明渡しが完了した場合には、明渡裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。・・・やっぱりわからん。
  • 仙台市建築確認取消請求事件(最判昭59・10・26)
     近隣住人が、新しく立つ建物が気に入らんから、確認処分取消の審査請求をしたが棄却裁決だった。ほんじゃまぁ裁判したろやないか!となった時には時すでに遅く、当該建物は立ち上がっていた。
     そもそも建築確認は「工事をして良い」かどうかを判断するだけのものなので、たとえ建築確認が取り消されても違反是正命令を発する必要もないから、なんも変わらんよ。(
    建築確認は適法にに工事ができると言う法的効果を付与されているにすぎない)ということで、建ってしまったら、建築確認の取り消しについては処分の訴えは消滅する。
  • 都市計画法に基づく、市街化区域内にある開発行為に関する工事が完了した場合の開発許可の取消しを求める訴えの利益(最判平5・9・10)。
     建築確認と一緒で、「開発行為をして良い」との法的効果を有するだけ。検査済証が交付されたら、開発許可を受けないと開発行為をできないという効果は消滅している。
    • 市街化調整区域では狭義の訴えの利益は認められた。(最判平27・12・14)
  • 運転免許の停止処分取消請求で、1年を無事故無違反で経過した場合の訴えの利益(最判昭55・11・25)
     道路交通法上の不利益を受けるおそれはないのだから、回復すべき法律上の利益はなんもないよ。ということ。
     「利益があるとかないとかちゃうわ!。俺のプライドと感情が許さへんのや!」って言いたいけれど、それが通じないのが法なんだろう。
    • ただし、違反点数および違反点数の効力が残っていた場合は、訴えの利益は消滅しない。
  • 保安林指定解除処分に対する取消訴訟中に、洪水防止や飲料水確保のための代替施設が完備されたので、保安林が存続する必要がなくなった場合の訴えの利益(長沼訴訟。最判昭57・9・9)
     代替施設が完備のこの一言で「はい、しゅーりょー(終了)」ということ。そもそも訴えを起こすことがおかしい。
     と思ったら、航空自衛隊基地の用地にするための保安林指定解除なので、左系の方が起こした訴えなんだろう。
  • 特定日の公園使用許可の拒否処分を争っている間にその特定日が経過してしまった場合の訴えの利益(最大判昭28・12・23)
     メーデー(5月1日)を過ぎたら、意味はない(利益はない)から。
     そもそも、皇居外苑でメーデー集会をせにゃならんか? 何でもかんでも「表現の自由」を振り翳せば人様に迷惑をかけることも厭わない集団・・・それが労働組合。こいつら(の多くは)、全然労働者のことなんて考えておらず、大声で主張するだけで楽がしたい。っていう集団。
  • 保険医指定取消処分の取消訴訟の係属中に、保険医指定制度が廃止された場合の訴えの利益(最判昭41・11・15)
     お店が潰れることで、お店のスタンプカードが、使えなくなった様な気分か?(ちょっと違う!?)
     スタンプあと1つってところで急にお店がなくなった時の悲しさたるや(実話)。別に大したものがもらえる訳ではないけど、あと1つだったところが、なんか悔しい。
  • 生活保護の受給権を争っている間に、原告が死亡してしまった場合の相続人の訴えの利益(朝日事件。最大判昭42・5・24)
     訴えの利益の話じゃないけれど、生活保護を受ける弟のために、お兄さんが「少しでも生活が良くなれば」と言う思いで仕送りをしたら(私の想像)、その分の生活保護受給額を減らします。って言われたらまぁ、受給権を争いたい気はわからないでもない。(元々の訴え)
     おそらく、兄が少なからずでも援助すると言うことは、不正受給とは思えないし。なんか複雑な気持ちになるわ。
  • 再入国の許可申請に対する不許可処分について取消訴訟を提起した外国人で、本邦を出国した場合の当該処分の取消しを求める訴えの利益(最判平10・4・10)
     もう、二度と日本に来んなや!と言うだけの話。
  • 後に衆議院が解散した場合の衆議院議員選挙を無効とすることを求める訴えの利益(最判平17・9・27)。
     そりゃ、そうじゃって話し。
  • 原告らに係る保育の実施期間がすべて満了した場合の市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益(最判平21・11・26)。
     園児はもう園児の年齢じゃなくなったもんね。
  • 情報公開法に基づく行政文書情報公開請求への一部不開示決定に対する取消しの訴え中に本人が死亡(最判平16・2・24)
     開示請求権は非財産権で、請求権者の一身に専属する権利なので相続の対象とならず、訴えの利益は消滅する。
  • 公立中学校教員を同一市内の他の中学校に転任させる処分。(吹田二中事件、最判昭61.10.23)
     結果だけみたら、「市内の転勤なんで当然になんら不利益を伴うものでない。」ってなるわな。
  • 都市計画法に基づく開発許可処分の取消しを求める係争中に原告が死亡した場合。(最判平9・1・28)
     原告の生命、身体の安全等は一身専属的だから。

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