読後感

空洞のなかみ:松重豊:毎日新聞出版社:2020年10月30日 

タイトル:空洞のなかみ
初版:2020年10月30日 
発行:毎日新聞出版社
著者:重松豊[しげまつゆたか]

 三井住友カード会員会報誌に紹介されていた一冊。

 「愚者譫言」と言う、書き下ろし部分(俳優が主人公の物語)と「演者戯言」と言うサンデー毎日に連載されていたエッセイからの、2部で構成されている。

 重松豊氏は「孤独のグルメ」のドラマ版に出演されていたので知っている。

 原作が好きだったので、ドラマシリーズも数話を観たし、台湾編は特に全話を観たと思う。さらに、台北旅行に行った時には、舞台となった食堂にも寄ってみたりもした。(だからこの本を購入したわけでもないけれど)

 ただ、ほとんどTVは観ないので、残念ながら他は全く知らないけど・・・。

台湾編で舞台となったお店の店内

愚者譫言

 前半の愚者譫言は、(後書によると)新型コロナウイルスの流行で「仕事がなくて家にいるしかない」状況から、自宅でできることということで、書き下ろした物語。

 エピローグとプロローグ以外の構成は、主人公(俳優)が撮影中ののっぴきならない状況に置かれているところから始まる。しかし、主人公自身はどの様な役柄でどの様な台詞が割り当てられているのか、またドラマ・映画の内容も分からない状況からスタートする。景色や他の俳優の衣装や台詞などから推測しながら、場面を進めていき、最後に、星新一よろしく的なオチがつく。と言う構成。

 面白いと言えば面白い。けれど、構成が似てくる。一気に読むと、ちょっと食傷気味になる。


演者戯言

 後半の演者戯言は、最初に記載した通り、サンデー毎日に連載されていた著者のエッセイ。前半の「愚者譫言」とのつながりはない。

 前半(愚者譫言)は書き下ろしでページ数が約半分。書籍化するにはエッセイ部分だけでは足りないため、かさ増しのために書き加えられたんだろうな。と思いながら読み進めたら、あとがきにも正直(!?)にそのことが語られていた。

 孤独のグルメの年末「生」放送に関するエピソードで、当初は初詣客の喧騒の中、NHKの紅白(歌合戦)を観ながら食べる。と言う案があったらしい。しかし、NHKから許可が出ず、お蔵入りなったとのこと。攻めるね、テレビ東京。そして、小さいなNHK。と思った次第。

 全体としては、自分自身とは遠い職業の方のエッセイなので、興味深くも読めたし、所々にオチをつけてくれたり面白いと言えば面白い。

 ただ、ボリュームと内容を考えたら、1,500円は高い・・・かな? ファンなら買ってもいいけれど。って感じ。


空洞のなかみ

 

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