読後感

女性たちが見ている10年後の消費社会:市場の8割を左右する「女性視点マーケティング」:日野佳恵子

タイトル:女性たちが見ている10年後の消費社会
初版:2021年2月11日
発行:同文舘出版株式会社
著者:日野佳恵子[ひのかえこ]

 単純に男女比である1:1で購買行動が決定されるのではなく、これまでも女性が購買行動を左右してきた。さらに、これから社会情勢の変化に伴い、よりいっそう女性の影響が強くなるため、(これまで皆無であった)女性視点のマーケティングの重要性と具体例、対処の仕方などについて書かれている。

 (私自身の狭い世間でしかないが)例えば、男性用スーツを購入するにしても、よく女性と一緒に買い物に来て、女性の意見を聞きながら購入を進めている夫婦(あるいは恋人同士?)を見かけたりする。翻って、女性服専門店内でそういう光景は少ないと思う。場合によっては、買い物において男性はお店の外で暇そうにスマホをいじりながら、嫁さん(あるいは彼女)の買い物が終わるのを待っている光景もよく見かける。
 他にも、外で食事をする場合のお店選びなども、女性が決めている方が多い様な気がする。あくまでも私と私の周りの人たちの意見なので、世間全般がそうだとは言い切らないが。

読み物としてもバイブルとしても

 内容については、調査・データに基づく具体例や分析が多く紹介されていたり、男性マーケッターが陥りがちな(誤った?)思考パターンの指摘があったり、参考になるところは多いと思う。

 また、内容も文字ばかりでなく、多くの事柄が図・表にまとめられて、あとから参考書的(バイブル)にも使える。

 例えば、新商品を検討する際に、P133の「女性消費者が見ている6つの共と6つの価値」の図に沿っているか、P254のニーズマップなどを参考にしながら検討できると思う。(ただ、私自身はマーケターでもなければ、営業部でもないが)

単純に、女性視点マーケティングを「女性社員に任せてみた」というレベルではない高度なマーケティングなのだ。そのため知識と理解不足によって成功が安定しづらい。「任せてみたけど成果なし……」という女性社員に向けた評価を起こすことも見聞きする。

p137

 結構、色々な会社での「あるある」の様な気がする。

 なぜ「女性社員に任せてみた」レベルではダメなのか。

 では、男性も何割か混ぜたら良いのか?と言う話ではなく、「女性社員に任せてみた」で思考が止まっており、そこには女性視点マーケティングが抜けていることが解説されている。もちろん、本文中には、この場合に必要な女性視点マーケティングについても解説されている。

 その他にも、同様の女性を単純に女性としてカテゴライズしてはダメだという具体例は「調理粉の容量とパッケージ」ででも示されている(P179)。

ややこしい方々に難癖をつけられないか心配

 本著では多くの男女差について記載されている。データに基づくものもあれば、一般的な感覚的な具体例であったりもする。

 例えば、

女性は、男性よりずっとシビアな現実派。買うべき理由が響かなければ、財布は開かない。買う場合も、言い訳がほしい。
あとで後悔しないように、「このケーキ、もう一個食べたら太るかな。でも今夜の夕食を抜けばいいよね」というように頭の中で何かを買うために、何かと差っ引く。「損してないよね」と納得しようとしている。自分の買物を肯定したい。

P211

 女性は、街中がクリスマスという世界観に染まってくる時は、持ち物も気持ちをクリスマス気分に合わせて統一させたいと思っているということだ。

P226

 こういうことを言う(書く)と「女性だけじゃない!」とか「女性を決めつけるな」と、いわゆるフェミニスと称される(自称含む)方々が怒り出しそう。特にケーキのくだりは女性がだらしないみたいな表現にも受け取られかねないから。

 本著には他にも「女性たちがもっともわくわくする買物は、トレンド消費だ。」(P73)、「女性は、本能的に赤ちゃんと一緒(P153)」などの表現がある。

 「女性が」と言っただけで、後に続く内容がどうであれ、女性と男性で分けただけで怒り出す人たち(フェミニスト)にとって本著は毒かも知れない。何十回、何十箇所と「女性は・女性が」の一文で文章が始まっているから。

マーケター以外にも

 本著は、マーケティング部分と、日本の女性進出の遅れの問題提起(それによるデメリット)で構成されている。

 この二つのテーマは、確かに複雑に入り組んでいることは確かだが、少し必要以上に入り乱れて語られている様に感じた。私自身が、理路整然としている方が好きな性質だから、そう感じるのだろうけど。

 こう言う辺りも含めて、女性著者による女性的なところで、その部分も含めて、本著でも述べられている男性脳、女性脳の違いなのかも知れない。こういうところも理解してこそ、女性視点のマーケティングを理解できるのだろう。

 そして、以下の男性脳、女性脳の違いは、個人的な感覚として、本当に納得してしまった。

妻「ちょっと朝からお腹が痛くて」
夫「病院行けば」
と言ってしまうだけで、妻が不機嫌になることがある。
夫からすればもっとも最適なアドバイスをしているつもりだが、妻からすれば「まずは、『大丈夫?』とか、相手に気遣いの声ぐらいはかけられないの? 冷たい人」となってしまうことがある。母親クラスターは、常にストレスを持つ日々がある。自分のことだけではない、さまざまなことに対処しなければならない。そのストレスを緩和させるための選択と行動をする。そのストレスを認めてくれていないと感じる

P174

 「調子が悪い(体調がすぐれない) → 病院へ行く。」これが最短の答えでしょ?っと、私なんかもなってします。

 ましてや、「まずは、『大丈夫?』とか、相手に気遣いの声ぐらいはかけられないの? 冷たい人」と言われて、「医者でもない俺が、‘大丈夫?’って聞いたところで、なんの症状も緩和しないよ。」なんて答えようものなら、次は修羅場しか待っていない・・・。

 男が「大丈夫」と一言添えられないもう一つの理由は、高倉健よろしく「多くは語らない。」「俺がお前のことを愛していることくらい、言葉にしなくてもわかるだろ。」と言うのも根底にあるのかも知れない(笑)。

 女性の社会進出は、まだまだ遅れているとは言われているとはいえ、昭和に比べると大きく進み、肉食女子・草食男子と言われる時代(それすらもう時代遅れか?)に、「言葉にしなくてもわかるだろ」なんてことを言っていたらダメだけど。

 そう言うわけで、本著(著者の意図に関わらず)は、年頃の独身男性なら「恋愛術」、あるいは既婚男性なら「嫁さん対処術」に応用できそうだとも思った次第。

 とても反省し、読了。


 

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