読後感

労働Gメンが来る!(働かなければ生きていけない。休まなければ生きていく気にもなれない)/上野歩

タイトル:労働Gメンが来る!
初版:2020年3月20日
発行:株式会社光文社
著者:上野歩[うえのあゆむ]

清野清乃は二十六歳。労働基準監督官に任命され、吾妻労働基準監督署に配属された新米だ。働き方改革が叫ばれる昨今だが、意識の低い雇用主は多く、相談は絶え間ない。いきなり解雇されたり、給料の払いが遅れたり、ハラスメントを受けたり……。働くこと、雇うことって、こんなに難しいの? 清乃が担当する案件を通して、「労働」の本質をさぐる、最新型お仕事小説。

光文社Web siteより

 サラリーマンには馴染みが深いが、意外に興味がないと言うか、実際に接する機会が少ないが、労働基準監督署(および労働基準法)。人事部あるいは関する部署ならまた違うとは思うが。

 もっとも有名な法諺の一つに「権利の上に眠るものは保護に値せず」がある。例えば、本著でも出てくる、残業時間は1分単位で計算しないといけない。なので、30分刻みで残業を計算している企業があったとすると、例えば5分の残業が発生したら、30分の残業手当をつけなくてはならない(・・・はず)。でも知らない人の方が多いんですよね。

 <閑話休題>

 その意外に知らない世界で、主人公が労働基準法(およびその他の法令)の裏打ちに基づいて、でも時には感情も交差しながら、労働トラブルを解決していくストーリー。

 (ネタバレ含む)ストーリの中に、労災隠しを暴いたことで会社が傾き、子供を含む社長一家が自殺して、それがトラウマになった監察官のくだりがあった。感じ方次第なんだけれど、そもそも悪いのは、自分の立ち上げた企業のブランドイメージを落としたくないと言う理由だけで、労災隠しを行っていた社長とその妻(専務)。自殺するくらいなら初めから労災隠しなんかするべきではないので、労災隠しを暴いた監察官がトラウマにまでなる設定に少しもやっと感がある(個人的感覚)。

 主人公(清野清乃)が前職を辞めて、基準監督官になった理由と、故郷で別れた恋人(っぽい)話はにちょっと無理がある様な気がした。どうしても、少しなりとも色恋を入れないといけないのかも知れない。そうした方が売り上げが伸びるのかな?

 ただ、見知らぬ世界の話なので、興味深く読めるし、何よりも小難しい言い回しもない文体で、無駄のない文体は読みやすい。かつ話のテンポもよい。

 いくつかの案件を解決してく組み立てになっているが、各案件それぞれがストーリー上あるいは法令上で絡み合ってて、ストーリーが進むほど面白さが増してくる。

 夕食後に読み始めて、いつもの就寝時間までには読み終えてしまった。

調べた言葉

糟糠の妻:貧しい時代から一緒に苦労を重ねてきた妻という意味のこと。もとは「糟糠の妻は堂より下さず(糟糠之妻不下堂)」、貧しい時代から支えてくれた妻は出世しても追い出すわけには行かない。不要抛弃共同患难过的妻子。

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