読後感

FACTFULNESS/ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド

タイトル:FACTFULNESS(ファクトフルネス)
初版:2019年1月15日(第1版第38刷:2021年1月6日)
発行:株式会社日経BP社
著者:ハンス・ロスリング[Hans Rosling]、オーラ・ロスリング[Ola Rosling]、アンナ・ロスリング・ロンランド[Anna Rosling Rönnlund]
訳者:上杉周作[うえすぎ しゅうさく]、関美和[せき みわ]

 最初に13の世界情勢に関する三択問題が掲載されている。
 各問の正解率は、ほとんどの問題で33.3%以下で、場合によっては10%未満となる。また、1万2千人を対象に12問のテストを実施したところ、正解数は平均2問。当てずっぽうに答えてもほぼ4問の正答数になるはずだが。ましてや高等教育を受けた人間であればもっともっと正解数が高くても良さそうだが、いわゆるエリート層の方が正答率が低い問いもある。
 入手できる情報から事実を判断することがいかに難しいかを実感させられる。

 その理由を10の本能から分析し、正しい世界の見方を身につけようと提唱されている。10の本能は以下の通り(タイトル抜粋)

  • 第1章 分断本能 「世界は分断されている」という思い込み
  • 第2章 ネガティブ本能 「世界がどんどん悪くなっている」という思い込み
  • 第3章 直線本能 「世界の人口はひたすら増える」という思い込み
  • 第4章 恐怖本能 「実は危険でないことを恐ろしい」と考えてしまう思い込み
  • 第5章 過大視本能 「目の前の数字がいちばん重要」という思い込み
  • 第6章 パターン化本能 「ひとつの例にすべてがあてはまる」という思い込み
  • 第7章 宿命本能 「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
  • 第8章 単純化本能 「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
  • 第9章 犯人捜し本能 「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み
  • 第10章 焦り本能 「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み

 「本脳」と言う点では、2ヶ月ほど前に読んだ『スマホ脳(スティーブン・ジョブスはなぜわが子にiPadを触らせなかったのか?)』にも通づるところがある。本当のして、遥か遠い昔には、生き延びるために「敵か味方か(分断本能)を判断し、危機に対しては、最悪を想定し(ネガティブ本能、恐怖本能)、瞬時に見分け(焦り本能)対応する必要」が合ったのだと考えられる。
 毎日が生きるか死ぬかだった時代と違い、急速に発達した現代おいて、そうそうそんな過酷な状況はない。
 「いつやるの? いまでしょ!」っと言う、受験生を鼓舞する言葉も流行ったし、嫌いな言葉ではない。ただ、受験勉強を明日に伸ばしたところで死ぬことはない。

 人には上記の本能に関する情報が受け入れられやすい。なので、マスメディアにおいてもそのようなセンセーショナルな情報ばかりを発信することのになる。マスメディアがフェイクニュースを流したり、情報操作を行っていると言うわけではない。「今日も関空では全ての航空機が無事に着陸しました。」なんてニュースはユーザー側も求めていないので仕方ない。

 結論としては、あくまでのニュースは恣意的に選別された「点」の出来事であることを理解しないといけない。報道が世界全体の情勢を正しく映し出しているわけではない。また、我々自身も本能に則った情報の方が受け入れやすいと言う習性があることを理解しないといけない。と言うことになる。
 本文中では以下の様に記載されている。

いくら良心的な報道機関であっても、中立性を保ってドラマチックでない世界の姿を伝えることは難しいだろう。そんな報道は、正しくても退屈すぎる。メディアが退屈な方向に行くとは思えない。ファクトフルネスの視点でニュースを受け止められるかどうかは、わたしたち消費者次第だ。世界を理解するのにニュースは役に立たないと気づくかどうかは、わたしたちにかかっている。

P321

 全体的な文章としては、難しい言葉は全くでてこない。また文体も平易に書かれているので読みやすい。読みやすくされている分、説明が詳細(人によってはくどいと感じるかも)なので、やたらと本が分厚くなっているのは、良いことなのか、悪いことなのか・・・。小難しい言葉をやたらと使うより、平易に説明するために多少分厚くなるのは、私は良いと思うが。


FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

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