読後感

リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する:三嶋憲一郎

タイトル:リテール・デジタルトランスフォーメーション D2C戦略が小売を変革する
初版:2021年1月21日
発行:株式会社インプレス
著者:三嶋憲一郎[みしまけんいちろう]

 著者は、オーダーメイドのビジネウウェアをD2Cで販売する株式会社FABRIC TOKYO(以下、FABRIC TOKYO)のCOO兼CFO。そのため、一般的なD2Cについても触れられてはいるが、FABRIC TOKYOで実際の例や取り組みについてが中心となっている。

 最初に少しだけ感じたマイナス面について。それは若干の偏り。例えば、D2Cと従来の小売業比較について、D2Cはメリットのみを列記し、従来の小売業についてはデメリットのみの列記となっている。他にも少し散見される。

 ただし、それらを差し引いても十分に参考になった。リアルタイムにそして実際にD2Cに取り組んで来た著者からの目線で語られる内容はつまびらかで、アパレル業界にとどまらず応用できそうなことばかり。自社の失敗(つまづいた)ところも赤裸々に包み隠さず書かれていて、他にもD2Cで躓きやすいこととその解決方法なども書かれている。

 時代の変遷として、ECが流行り出しもてはやされた頃、テレビでは評論家たちが「実店舗はなくなる。」みたいなことをひとしきり叫んでいた様な記憶がある。それから時は経ち、実際にはD2C+OMO(Online Merges with Offline)が主流となってきている。オムニ・チャネルと言う言葉もいつの間にか普通に使われる言葉になってきたし。

 本著では、自社(FABRIC TOKYO)D2C+OMOの取り組み(方法)についても書かれている。これもまた、机上の空論ではなく実際の取り組みのため、説明が現実的でわかりやすい。

 そして、既存の実店舗を多く展開する企業はD2C+OMOに経営の舵を切りにくいことにも触れられている。その理由の一つは、実店舗(offline)では「顧客の経験・体験」、ネット(online)では「購入」となると、実店舗で働く従業員の評価が難しいこと。では、FABRIC TOKYOではどの様な評価システムを採っているのか?が触りだけでも紹介されていたらよかったのだが、そこには触れられていなかった。(と思う)

 最後は、D2Cから次のステップとしてのRaaS(Retail as a Service)ビジネスモデルに言及し、FABRIC TOKYOの取り組みについて紹介している。ただ単に「こんなことします」と言うものではなく、その考え方まで紹介・解説されている。


アマゾンと競合しない商材

 アマゾンで販売しやすいものは、商品の差別化が難しく、レッドオーシャン化しやすい商材と言えます。
(中略)
しかし、D2Cとして戦っていく上で、アマゾンと明確に差別化できるかどうか、勝ち筋がある商材かどうかは、やはり重要な判断材料となります。

P69

 もしかすると、リテールやマーケティングの世界では普通に言われていることなのかも知れないけれど、個人的には参考になった。

 確かに、アマゾンってなんでもある。そして、アマゾンにある=コモデティ化しやすい→差別化が難しいと言うのも頷ける。

どうでもいいこと

本書ではこの見えない資産をアセットと呼びます。

P87

 全くもって本文とは関係ないんだけれど、学生の頃にコンビニでアルバイトをしたことがある。その時にお客さんから「レシートじゃなく領収書を頂戴。」って言われたことがあるが、それに似た感覚だわ。日本語か外来語の違いであって、同じものぢゃないの?と言う感覚。

ドップダウン

P35(図)

 さすがに「トップダウン」の誤字だよね。とすぐに気がついたものの「ひょっとして、マーケティング用語やビジネス用語? 俺が知らないだけで、一般的用語なの?」と怖くなり、ネット検索をした。・・・(結論)たぶん、誤字。

 

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